『ペルシャン・レッスン 戦場の教室』
第二次世界大戦中のナチス・ドイツの強制収容所。ペルシャ人になりすましたユダヤ人青年が、ナチス将校に「架空のペルシャ語」を教えることで生きのびようとする姿を描く戦争ドラマ。
『ペルシャン・レッスン 戦場の教室』あらすじ
第二次世界大戦中のフランス。ナチス親衛隊(SS)に捕らえられたユダヤ人青年のジル(ナウエル・ペレーズ・ビスカヤート)は、自分はペルシャ人だと偽ることで処刑を免れる。
強制収容所に送られたジルは、終戦後にペルシャで料理店を開くことを夢見るコッホ大尉(ラース・アイディンガー)にペルシャ語を教えることになる。
嘘がばれたら処刑されるという極限状態の中、ジルは生き残る唯一の手段として架空のペルシャ語を創作し、それをコッホに教えていく。
レッスンを続けるうちに2人の間には奇妙な信頼関係が生まれるが、やがて戦争は激化し、ナチス・ドイツは劣勢になっていく…
『ペルシャン・レッスン 戦場の教室』みどころ
ユダヤ人青年がペルシャ人になりすまし、架空のペルシャ語をレッスンすることで生き延びる…
まるでコメディのような設定ですが、内容は大真面目です。
アメリカ映画だったら笑いの要素が多少入ってきそうなものですが、今作はロシア・ドイツ・ベラルーシの合作。最初から最後まで重苦しい雰囲気の中で、笑える要素は一切ありません。
自分で考えた架空の言語を人に教えるなんて、そんなことが可能なのか?と思いますが、劇中のジルも相当苦労します。
次々に言葉を作り出していきますが、自分で考えたとはいえ、それを覚えることができない…。ジルはそれをある工夫によって乗り越えていきます(それにしても記憶力がよすぎるような気もしますが…)。
ジルから偽ペルシャ語を教わるコッホ大尉は、厳格で任務に厳しい男。部下からも恐れられています。
すぐに怒り、キレるとジルに対しても激しい暴力を加えたりするコッホですが、ジルには次第に心を許していきます。
一見有能そうではありますが、意外とお人好しな面もあり、教わった偽の言葉を一生懸命覚え、ジルを特別扱いしたり、偽ペルシャ語で作った詩をはにかみながら披露したりと、その姿は少々気の毒で軽く涙を誘います。
コッホはやがて戦争が終わったら、ペルシャに渡ってテヘランで料理店を開くのを夢見ています。そのためにペルシャ語を学ぶ必要があったんですね。
ちなみに「ペルシャ」というのは現在のイランのことです。昔は「ペルシャ」と呼ばれており、1979年のイラン・イスラーム革命以降は呼び名が「イラン」と定められました。
そして忘れてならないのが、くせ者揃い…というかクズ揃いのナチス親衛隊の面々。嫉妬や逆恨みから足の引っ張り合いを続け、ジルもそれに巻き込まれます。
戦争中なんだし、もっと真面目にやれよ…と思っているうちに戦況が悪化して…
はたしてジルはこのクズ揃いの面々に囲まれてホロコーストを生き延びることができるのか、そしてコッホは無事に料理店を開くことができるのか。この点にも注目です。
『ペルシャン・レッスン 戦場の教室』(2020年/ロシア・ドイツ・ベラルーシ)
監督 | バディム・パールマン |
出演 | ナウエル・ペレーズ・ビスカヤート、ラース・アイディンガー |
URL | https://movie.kinocinema.jp/works/persianlessons/ |