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ドラマ

『生きる』

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黒澤明監督の名作『生きる』を、舞台を1950年代のイギリスに置き換えてリメイクした『生きる LIVING』が2023年3月から公開されました。
監督はオリバー・ハーマナス、主演はビル・ナイノーベル賞作家のカズオ・イシグロが脚本を担当しています。

黒澤明監督『生きる』は1952年公開の日本映画。
胃がんで余命いくばくもないことを知った模範的な役人が「生きる」意味を探し、市民公園の建設に奔走する姿を描くヒューマンドラマです。

渡辺勘治(志村喬)は、無気力に仕事を続ける市役所の市民課長。
体調不良から医者の診療を受けたところ、胃がんで余命いくばくもないことが発覚します。

市役所の職員はみな無気力で、お役所仕事がはびこっています。
公園を作ってほしいと陳情に訪れた主婦たちが、たらい回しにされてブチ切れるありさま。

生きる意味を見失った渡辺は、死の不安から市役所を無断欠勤し、貯金をおろして夜の街をさまよいます。
偶然飲み屋で知り合った小説家(伊藤雄之助)の案内で放蕩しますが、虚しさだけが残ります。

渡辺は早くに妻に先立たれ、自分を犠牲にして息子の光男を男手一つで育ててきました。
しかし事情を知らない光男(金子信雄)とその妻のたつ(浦辺粂子)は、渡辺の放蕩を白い目で見るようになります。

ある日渡辺は、元部下で市役所を辞めておもちゃ会社に転職しようとしていた小田切とよ(小田切みき)と偶然再会します。
この小田切がかなり自由奔放なタイプなんですが、一緒に食事をしたり、出かけたりするうちに、渡辺は彼女のその奔放さに惹かれるようになります。

やがて小田切からは気持ち悪がられるようになりますが、渡辺が自身が癌であることを伝えると、作っているおもちゃを手に「あなたもなにか作ってみたら?」と言われるのです。
小田切のこの言葉が渡辺にとって転機となります。

心を動かされた渡辺は、残り少ない人生でもまだできることがあると、仕事に復帰。そして主婦たちの要望だった公園の建設に奔走し始めるのでした。

タイトル通り「生きる」ことをテーマとしつつも、市役所の職員たちを通じて官僚主義を批判した作品。

『生きる』(1952・日)

監督・脚本黒澤明
出演志村喬、小田切みき、金子信雄、浦辺粂子、伊藤雄之助